M&Aについて⑴ ~ M&Aの流れ
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M&Aについて⑴ ~ M&Aの流れ
1 M&A準備段階
1 M&A戦略の立案
M&Aは目的でなく手段に過ぎないため、まずは、M&Aを行う上で目的となる経営戦略又は事業戦略を明確にすることが重要になります。
全社レベルの経営戦略としては、事業ポートフォリオの転換を目的とすることがあります。
事業部門の事業戦略としては、事業規模の拡大、新市場開拓、製品ラインナップの拡充、バリューチェーン拡大などを目的とすることがあります。
このように明確な経営戦略又は事業戦略なしにM&Aを成功させることは不可能であり、M&A戦略の立案は重要になります。
2 ターゲット企業の選定・案件の持ち込み
M&Aは基本的に売り手市場であり、買い手企業においては、金融機関やM&A仲介企業などから案件を持ちかけられるのを待っているだけでなく、自らM&Aを仕掛けていくことが必要になります。
したがって、買い手企業においては、経営戦略又は事業戦略に基づいて買収するターゲット企業を能動的に選定する必要があります。
ターゲット企業の選定は、20~100社程度をリストアップしたロングリストを作成した上で、5~10社程度に絞り込んだショートリストを作成し、優先順位の高い順にアプローチしていくという方法をとることが通常です。
一方で、金融機関やM&A仲介企業などからM&A案件が持ち掛けられることがありますが、まずは、ノンネーム・シートという形で企業を特定できるような具体的な情報を記載しない情報がもたらされることが一般的です。
2 M&A実行段階
1 秘密保持契約(NDA)の締結
ターゲット企業へアプローチし、前向きな意向が確認できた場合、相手方から基礎的な情報の提供を受け初期的な分析・企業価値算定を行って、買収価格のレンジを想定することが一般的です。
その上で、M&Aの条件交渉を行う前には、秘密保持契約(NDA、Non-Disclosure Agreement)を締結し、詳細な情報を入手することになります。
秘密保持契約における留意点としては、秘密情報の定義や管理方法を具体的に定めること、有効期間を定めること、契約違反の場合における損害賠償責任を明記すること等があげられます。
2 基本合意(LOI・MOU)の締結
基本的な条件が合意に至った時点で基本合意(LOI、Letter of intent、MOU、Memorandum of understanding)をします。
基本合意は、基本的にはM&Aを実行する法的義務を規定するのではなく、価格レンジ、買収スキーム、買収時期などの重要な条件面での合意を定め、重要な条件面での合意を図ることにあります。
ただし、排他的交渉権を買い手企業に与えることがあり、これは法的権利・義務として拘束力を有することになります。
3 DDの実施締結
基本合意の締結後に、財務DD、ビジネスDD、法務DD、税務DDなどが行われます。
このほか、DDには、人事DD、環境DDなどもあります。
DDの目的は、買収対象企業の財務実態の把握とリスク事項の抽出、買い手企業後のシナジー効果の詳細分析などです。
DDの対象は、買収対象企業だけでなく、リスクが懸念される場合は子会社や関連会社も対象となることがあります。
DDで発見されたリスク事項は金額換算できるものは、買収価格のマイナス要素として織り込むことになります。
DDによって重要な事項が検出された場合、基本合意で合意された条件を変更することがあります。
4 最終契約の交渉・締結
DDの実施後、いわゆる最終契約書(株式譲渡契約書、合併契約書、事業譲渡契約書など)を締結することになります。
当事者は、最終契約締結後、最終契約の内容に従って、クロージング前の誓約事項に定めるクロージング前に当事者が履行すべき義務を履行し、クロージングの前提条件を充足させることになります。
クロージングの前提条件をすべてクリアすることによって、買収代金の決済、重要物の授受等が行われ、M&Aが実行されます。
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M&Aについて⑵ ~ DDとは
M&Aについて⑶ ~ 基本合意とは
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法務DD⑴ ~ 法務DDとは
法務DD⑵ ~ 法務DDの流れ
法務DD⑶ ~ 株式・株主について