営業損害の主張・立証方法⑷ ~ 回答書の作成・送付 |淡路島(南あわじ 洲本)の弁護士 あわじみらい法律会計事務所

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営業損害の主張・立証方法⑷ ~ 回答書の作成・送付

営業損害の主張立証方法⑷ ~ 回答書の作成・送付

 回答書の作成・送付

1 証拠の偏在

 損害賠償請求を受ける側(ディフェンス側)においては、損益計算書の原資料等は手元に存在しないので、資料の開示を受け、反論のポイントを検討することになります。
 ただし、企業の規模が大きくなればなるほど、損益計算書等の数字を構成する個別の仕訳の数膨大になり、資料膨大になり、一つ一つの数字を検証したり、非常に厳密な固定費・変動費の区別をしていくこと困難です。
 また、場当たり的な資料開示を行ったとしても、相手方が応じてくれる範囲限度があり、開示が拒否されるおそれは高く、膨大な資料が開示されたとしても代理人における負担は大きくなります。
 したがって、請求を受ける側としては、金額的なインパクトが大きくなるところにあたりをつけて反論を検討する必要があります。

2 資料開示依頼
1 決算書(損益計算書、貸借対照表等)の3期分

 損害賠償請求を受ける側(ディフェンス側)においては、損益計算書・貸借対照表を含む決算書の3期分の開示を求めます。なお、損益計算書製造原価報告書販管費内訳書が添付されてないことも考えられるので、これらを含んで資料開示請求することに留意します。

2 決算書に対応する勘定明細

 勘定科目とは、仕訳や財務諸表の表示で使用する表示金額の内容を示す名称(科目)のことをいいますが、具体的には役員報酬・地代家賃などの項目のことで、この内訳を明らかにする書類が、勘定明細です。
 役員報酬・地代家賃の内訳に関しては、法人税の申告上、勘定明細を作成することになっているので、通常存在しているはずです。
 各勘定科目に計上されている費用も、固定費としての性格を持つ費用と変動費としての性格を持つ費用が一緒くたに計上されていることが多いので、内訳明細がなければ内容が分かりません。
 規模の大きい会社では、一つの費用が数千数万件の仕訳を集計したものになることもあります。
 ここで法人税の申告では、16項目について、勘定科目内訳明細書作成することになります。
 ただし、うち12項目貸借対照表項目(預貯金、売掛金、棚卸資産、有価証券、固定資産、買掛金、借入金など)のため、単純に貸借対照表の内容を把握する際には便利ですが、営業損害に関してはあまり有用ではありません。

3 月次損益計算書(月次試算表)

 月次試算表とは、月次の決算を行う際に作成する月次の貸借対照表・損益計算書のことをいいます。
 貸借対照表に加えて、キャッシュ・フロー計算が書が作成されていることもあります。
 月次損益計算書を入手することで、年次損益計算書の信頼性判定したり、実際にどの項目が変動していのか分析したり、売上高などの季節変動があるかどうか判断することができます。
 なお、月次損益計算書の集計金額と決算整理仕訳の金額を合計した場合、年次の損益計算書の数値に一致するはずであるため、併せて決算整理仕訳も入手することが重要です。

4 セグメント別損益計算書・事業別損益データ・商品別損益データ
5 総勘定元帳・仕訳日記帳

 セグメント別損益計算書・事業別損益データ・商品別損益データ総勘定元帳・仕訳日記帳の開示を求めることが考えられます。
 ただし、これらは企業秘密にかかわる情報になるため、通常、訴訟外で開示されることは考えにくいです。
 総勘定元帳・仕訳日記帳が開示されれば、企業の全ての取引が記載されているため、Excel等で加工することによりさまざな分析を行うことが可能になります。

 回答書の内容

 回答書においては、変動費の控除や固定費と変動費の区分に関する主張を行うこと、賠償対象は売上高から売上原価や経費などを控除した利益となるという主張等を行って、資料の開示解決案の提示を行うことになります。
 また、契約が不当に破棄された場合、不当な競業行為が行われた場合、信用棄損・風評被害等で損害賠償の算定期間をどのように認定するかということが争点になり、侵害行為の継続的状況、業界の特性、契約期間(契約の不当破棄事案の場合)、売上高の回復傾向、影響の除去に寄与する事実の有無・時期等の諸般の事情について、反論することが考えられます。
 また、そもそも、売上高の減少が生じているかどうかが争点になることも考えられますが、これに関しては裁判例の傾向としても、過去の売上実績額を基準として、実際の売上額を差し引いて推認・認定することが基本になると考えられます。
 ただし、季節性の変動がある場合新型コロナウイルスによる売上高の減少・特需新商品の開発営業規模の拡大など単純に過去の実績を横引きすれば足りる事案ばかりでなく、むしろそうした事案の方が実際には少ないのではないかと考えられるため、個々の企業の状況における主張・反論を検討すること重要なものと考えられます。

 なお、営業損害の主張・立証方法については、以下もご参照ください。
 営業損害の主張・立証方法⑴ ~ 営業損害とは
 営業損害の主張・立証方法⑵ ~ 変動費・固定費、損益分岐点、固変分解について
 営業損害の主張・立証方法⑶ ~ 請求書の作成・送付について
 営業損害の主張・立証方法⑷ ~ 回答書の作成・送付について
 営業損害の主張・立証方法⑸ ~ 訴状段階・答弁書段階について

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