業務上横領事件の弁護活動について
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業務上横領事件の弁護活動
はじめに
業務上横領罪は、横領罪の中でも業務に基づいて占有している他人の物を横領した場合に成立し、例えば会社から金銭の管理を委ねられている経理担当の従業員が会社の現預金を着服する場合などに成立します。
業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
業務上横領罪では、後述のとおり、発覚後すぐに逮捕・勾留はされるのではなく、まずは在宅捜査が進められることが多いことが特徴です。
そして、略式請求による罰金刑はないため、不起訴にならず公判請求された場合、執行猶予付きの刑となるかどうかは、被害金額と示談が成立したかどうかによるところが大きいです。
本コラムでは、業務上横領事件の弁護活動について、淡路島の弁護士が解説いたします。
起訴前(逮捕・勾留)段階の弁護活動
1 逮捕・勾留されてしまうかどうか
業務上横領罪では、会計帳簿などの通常膨大な分量となる証拠を精査した上で逮捕状が請求されることが多いです。
証拠には、フォレンジック調査によるメール・チャットツール、PCデータ、金融機関と被害会社の取引データ、関係者の供述などがあります。
証拠を精査した上で逮捕状が請求され、逮捕された場合には、そのまま勾留されてしまうことが見込まれます。
一方で、
2 起訴前(逮捕・勾留)段階における弁護活動のポイント
業務上横領罪は財産犯(他人の財産を侵害する犯罪)であるため、被害弁償(=犯罪行為の被害者に対して、金銭等の賠償を行うこと)を行ったかどうかが、起訴・不起訴の判断において大きく考慮されます。
したがって、業務上横領罪では、まず、警察が逮捕前の捜査として証拠書類を精査している間に被害者である会社と示談し、告訴・被害届出を取り下げてもらうことを目指すべきです。
すなわち、いかに在宅捜査の間に示談を成立させるか、いかに被害弁償金を捻出するかがポイントになります。
なお、示談交渉においては、被害弁償の申入れだけでなく、事実調査に協力すること、従業員としての地位にないことの確認、退職金請求権の放棄、守秘義務の応諾の申入れなども交渉材料とすることが考えられます。
起訴後(公判)段階の弁護活動
1 保釈が認められるかどうか
保釈請求には、➀権利保釈と➁裁量保釈がありますが、窃盗罪は権利保釈が認めれ得る犯罪であるため、除外事由に該当しない限り、被告人の権利として保釈が認められます。
権利保釈の却下事由(除外事由)としては、証拠隠滅行為が疑われること(「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること」)などがあります。
したがって、捜査段階で被害弁償・示談が完了していれば保釈が認められる可能性は高いですが、そうでない場合、証拠隠滅行為が疑われること(「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること」)などの個々の状況により保釈が認められるかどうかの結果は分かれるものと考えられます。
なお、共犯事件の場合、事実関係に争いがなくても、役割分担などが重要な情状事実になるため、共犯者の被告人質問又は証人尋問が終了するまで保釈が認められないことがあります。
また、余罪があることで、保釈が認められないことがあり、仮に保釈が認められた場合でも再逮捕されてしまうことがあります。
2 業務上横領罪の量刑
業務上横領罪では、被害金額が100万円以下の場合、執行猶予付き懲役刑が見込まれます。
これに対して、被害金額が100万円を超える場合、示談が成立しないで被害が回復していないと実刑になることが見込まれ、被害金額が高額になるに応じて刑期も長くなります。
刑期としては、被害金額が500万円以下の場合、2年程度の懲役刑(実刑)が見込まれます。
一方で、示談が成立し、被害が回復していれば、前科前歴がない限り、執行猶予が付く可能性は高いです。
被害金額が1億円を超えるような事件であっても全額の被害弁償が行われたことで執行猶予が付いたケースもあります。
したがって、いかにして判決までの間に示談を成立させるかが重要になります。
なお、破産者が他人を害する積極的な意欲(悪意)をもってした不法行為に基づく損害賠償請求権は、非免責債権として、自己破産して免責許可が下りても免除されないところ、横領したことにより生じた損害賠償請求債務は、非免責債権に該当する可能性が高いと考えられるため、債務整理のためには、自己破産ではなく個人再生手続などを検討せざるを得ないことに留意する必要があります。
刑事事件・少年事件の弁護士費用
捜査弁護活動(起訴前弁護活動)
(着手金)
(報酬金)
公判弁護(起訴後弁護)
(着手金)
(報酬金)