取引先の倒産時に売掛金回収で確認すべきこと|債権届出・担保・相殺 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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取引先の倒産時に売掛金回収で確認すべきこと|債権届出・担保・相殺

取引先からの支払が滞り、「破産するらしい」「民事再生を申し立てたようだ」といった情報が入ると、売掛金や請負代金を回収できるのか、自社の資金繰りは大丈夫か、強い不安を感じられることと思います。もっとも、取引先が倒産したとき、売掛金回収は通常の督促とは進め方が異なります。倒産手続の種類、債権届出の期限、担保・相殺・所有権留保の有無、保証人の有無、そして手元の証拠資料を、順番に確認していく必要があります。

「すぐに商品を引き上げる」「強く支払を迫る」といった対応は、かえって不利になったり、後日問題化したりする場合があります。本記事では、取引先の倒産時に売掛金回収で最初に確認すべき点を、経営者・経理・法務のご担当者が急いで読んでも理解できるよう整理します。なお、回収できるかどうかは個別事情により結論が異なりますので、最終的には資料を確認したうえで判断する必要があります。

取引先の倒産に直面し、売掛金回収の進め方に迷われている場合は、資料を確認したうえで対応方針を整理できます。神戸みらい法律会計事務所は、企業法務・債権回収に対応する弁護士が在籍しています。

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取引先が倒産したときにまず確認すべきこと

取引先の倒産時に、まず確認していただきたいのは次の点です。いずれも早い段階で確認することが重要です。

  • 通知書……差出人(破産管財人・監督委員・代理人弁護士)、事件番号、裁判所、倒産手続の種類
  • 期限……債権届出の期限、債権調査期日、債権者集会の日程、再生計画案への回答期限
  • 債権額……売掛金等の金額、発生日、弁済期、遅延損害金、消費税、手形・電子記録債権の有無
  • 担保・相殺……担保権、所有権留保、相殺できる買掛金・前受金・預り金等の有無
  • 今後の納品……出荷・役務提供を継続してよいか、契約を解除・変更すべきか
  • 資金繰り……自社のキャッシュフローへの影響、利用できる公的制度の有無

特に債権届出には期限があり、対応が遅れると不利になる場合があります。期限の確認を最優先にしてください。

取引先の「倒産」とは何か

「倒産」は法律上の用語ではなく、一般に、支払不能や債務超過により事業の継続が困難になった状態を広く指す言葉です。回収方法を検討するうえでは、まず、取引先が「法的整理」に入ったのか、「私的整理」なのか、あるいは「単なる支払遅延・事業停止」なのかを区別する必要があります。

法的整理は、裁判所の関与のもとで進む手続で、破産、民事再生、会社更生、特別清算などがあります。法的整理が始まると、債権者が個別に回収することが制限される場合があり、手続内のルールに従う必要があります。私的整理(任意整理)は、裁判所を通さず、債権者と債務者の話し合いで進める手続です。単なる支払遅延や事業停止は法的手続ではなく、この段階であれば、内容証明郵便による請求、交渉、仮差押え、支払督促、訴訟、強制執行などを検討する余地があります。ただし、その後に法的整理へ移行することもあるため、状況の変化に注意が必要です。

手続 概要 売掛金回収で見るべき点
破産 財産を換価して債権者に配当する清算型の手続。破産管財人が選任される場合と、財産が乏しく同時廃止となる場合がある。 破産債権の届出、別除権(担保)・相殺・取戻し(所有権留保)の有無を確認する。
民事再生 債務者が事業を続けながら再建を図る手続。監督委員が選任されることが多い。 再生債権の届出、別除権の扱い、相殺の時期制限、継続取引の可否を確認する。
会社更生 主に株式会社を対象とする再建型の手続。更生管財人が選任され経営権が移る。 更生債権・更生担保権の届出。担保権も手続に取り込まれ、個別行使が制限される。
特別清算 解散した株式会社の清算手続。協定や和解により進む。 債権者集会、協定・和解の内容、担保・相殺の扱いを確認する。
私的整理・任意整理 裁判所を通さない話し合いによる整理。 合意内容、弁済条件、担保・相殺・保証の扱いを個別に確認する。
支払遅延・事業停止 法的倒産手続ではない状態。 通常の請求・交渉・保全・訴訟・強制執行を検討する余地がある。

配当率や弁済率は事案により大きく異なり、一般化して断定することはできません。

破産・民事再生・会社更生で売掛金はどう扱われるか

法的整理が始まると、売掛金は手続内の「債権」として扱われ、原則として個別の回収はできなくなります。手続ごとの大枠は次のとおりです。

破産

破産は、取引先の財産を換価して債権者に配当する清算型の手続です。売掛金は「破産債権」として届け出ます。配当は債権額に応じて平等に行われますが、財産が乏しい場合は配当がない(配当ゼロ)こともあります。ただし、担保権(別除権)、相殺、所有権留保に基づく取戻しなどがある場合は、手続外で回収余地を検討できる場合があります。

民事再生

民事再生は、取引先が事業を続けながら再建を図る手続です。売掛金は「再生債権」として届け出ます。再生計画によって、債権の一部免除や分割弁済など権利の変更が行われることが一般的で、弁済率や弁済期間は計画の内容によります。

会社更生

会社更生は、主に株式会社を対象とする再建型の手続で、更生管財人が選任され、経営権が管財人に移ります。売掛金は「更生債権」として届け出ます。会社更生では、担保権も手続に取り込まれ、担保権者であっても個別の行使が制限される点が、破産・民事再生と異なります。いずれの手続でも、まずは届出をしたうえで、担保・相殺・保証などにより回収余地がないかを併せて確認することが重要です。

債権届出で確認すべきこと

債権届出は、倒産手続のなかで配当や弁済を受けたり、議決権を行使したりするために重要な手続です。届出をしないまま期限を過ぎると、配当を受けられないなどの不利益が生じるおそれがあります。

届出期限は、事件ごとに裁判所などが定めます。通知書や同封の届出書に記載されていますので、まず期限を確認してください。届出書には、一般に、債権の発生原因(取引の内容)、金額、弁済期、債権の種類、担保・保証・相殺の有無などを記載し、契約書や請求書などの証拠資料を添付します。債権額に争いがある場合は、管財人などの認否や異議に対応する必要が生じることがあります。

期限を過ぎた場合の届出の可否や不利益は、手続や事件によって異なります。また、破産・民事再生・会社更生では用語や扱いが異なるため、届いた通知書の名称と手続の種類を取り違えないよう注意してください。期限が迫っている場合は、早めに確認することが重要です。

債権届出の期限が迫っている、記載や添付資料に迷うといった場合は、期限前に一度確認することをおすすめします。資料を確認したうえで、回収余地や手続の見通しを整理できます。

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担保・所有権留保・相殺で回収余地を確認する

取引先が倒産しても、担保・所有権留保・相殺・保証などにより、回収余地を検討できる場合があります。ただし、いずれも個別事情により結論が変わるため、資料を確認したうえで判断する必要があります。

  • 担保権……抵当権、根抵当権、質権、譲渡担保、債権譲渡担保などの担保がある場合、破産・民事再生では「別除権」として原則として手続外で行使できる可能性があります。会社更生では「更生担保権」として手続内で扱われます。
  • 所有権留保・取戻し……売買代金の完済まで商品の所有権を売主に留保する条項がある場合、未払いの商品について取戻しなどを検討できる場合があります。ただし、対象物の特定、占有状況、転売の有無、契約条項、対抗要件、管財人・監督委員との関係により結論は変わります。
  • 動産売買先取特権・物上代位……売った動産そのものについて法律上の優先権が認められる場合があり、転売されたときはその代金債権を差し押さえる(物上代位)余地があります。ただし、第三者との優劣や手続が問題になります。
  • 相殺……自社が取引先に買掛金・前受金・預り金などの債務を負っている場合、売掛金と相殺できる可能性があります。ただし、相殺できる時期、原因関係、倒産手続上の制限や相殺禁止の規定があり、特に民事再生では債権届出期間内に相殺する必要があるなどの時期制限があります。取引先の支払停止や申立ての後に行う相殺・回収は、否認や相殺禁止の問題が生じることがあるため、安易に処理しないことが重要です。
  • 保証人・連帯保証人・物上保証人……代表者保証、連帯保証人、物上保証人がいる場合、主債務者である取引先の倒産手続とは別に、保証人へ請求する余地を検討できます。ただし、保証契約書の有無、根保証の極度額、事業用融資の保証に関する規制、保証意思の確認手続などの資料確認が必要です。

納品停止・契約解除・継続取引の注意点

未払いがあるからといって、一方的に納品を止めたり契約を解除したりすることが、常に安全とは限りません。まず、契約書の期限の利益喪失条項、解除条項、所有権留保条項、支払条件、検収条件を確認してください。

取引先が民事再生などで事業継続を図っている場合は、取引を続けるかどうか、支払条件を見直すかどうかを検討することになります。その際、倒産手続開始前の売掛金(既発生の債権)と、開始後の新規取引分とを混同しないことが重要です。手続開始後に商品やサービスを供給する場合、その対価が手続上優先的に扱われることもありますが、管財人・監督委員の同意などが問題になる場合があるため、個別の確認が必要です。

今後も取引を続ける場合は、前払い、現金取引、担保、保証、短期決済などを検討することが考えられます。なお、未払い商品を無断で引き上げる、強引に回収するといった行為(自力救済)は、違法と評価されたり、トラブルや損害賠償の問題になったりするおそれがありますので避けてください。すでに申立てや保全処分が出ている場合は、特に慎重に対応する必要があります。

取引先倒産時に準備すべき資料

回収余地や手続の見通しを整理するため、次のような資料を確認・整理しておくと役立ちます。すべての資料がそろっていなくても相談は可能ですが、資料が多いほど見通しを整理しやすくなります。

資料の区分 主な資料と確認のポイント
取引・契約関係 取引基本契約書、個別契約書、注文書・発注書・請書、納品書・受領書・検収書、約款(所有権留保条項の有無を含む)
請求・入金関係 請求書、売掛台帳、総勘定元帳・補助元帳、入金履歴、督促履歴
連絡記録 メール、チャット、FAX、議事録など、取引内容や支払約束を示すやり取り
手形・債権関係 手形、小切手、電子記録債権に関する資料
担保・保証・相殺 担保設定契約書、保証契約書、相殺できる可能性のある買掛金・返金債務・預り金等の資料
倒産手続関係 裁判所・管財人・監督委員・代理人弁護士から届いた通知書、債権届出書式、債権者集会・説明会の資料
取引先・自社情報 取引先の登記情報、支店・営業所・代表者情報、自社の資金繰り表

資金繰りへの影響と公的制度

取引先の倒産は、売掛金回収の問題にとどまらず、自社の資金繰りにも影響します。法律上の回収策とは別に、次のような公的制度の利用を確認できる場合があります。要件・金額・申請先・指定状況は変動するため、最新情報を必ず公式情報で確認してください。

  • 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)……中小企業基盤整備機構が運営する共済制度です。あらかじめ加入していれば、取引先の倒産により売掛金などの回収が困難になった場合に、掛金総額の10倍(上限8,000万円)の範囲内で、無担保・無保証人で共済金の貸付を受けられる場合があります。加入後6か月以上の経過や倒産日から6か月以内の請求などの要件があり、夜逃げなどは対象外とされています。これは「貸付(借入)」であり、損失そのものの補填ではない点に注意が必要です。
  • セーフティネット保証1号(連鎖倒産防止)……経済産業大臣が指定した大型倒産事業者に対して売掛金債権等を有する中小企業者が、市区町村の認定を受けたうえで、信用保証協会の別枠保証を受けられる制度です。指定された事業者に対する債権であることが前提となるため、すべての取引先倒産で利用できるわけではありません。
  • 専門家・金融機関への相談……金融機関、税理士、公認会計士、商工会議所などへの相談も、資金繰り対応として有効です。

なお、回収不能となった売掛金の貸倒損失や貸倒引当金、消費税の処理など、会計・税務上の取扱いは、税理士・公認会計士に確認すべき事項です。これらの制度は、弁護士による法律相談とは役割が異なります。法的な回収策と資金繰り対策は、分けて検討することが重要です。

弁護士に相談するタイミング

次のような場面では、早めに弁護士へ相談することで、対応方針を整理しやすくなります。

  • 破産管財人・監督委員・代理人弁護士・裁判所から通知書が届いたとき
  • 債権届出の期限が近いとき
  • 相殺、担保、所有権留保による回収を検討したいとき
  • 商品の引上げ、納品停止、契約解除を検討しているとき
  • 保証人や第三者への請求を検討しているとき
  • 取引先の倒産により、自社の資金繰りに影響が出るとき

弁護士への相談は、結果を保証するものではありませんが、資料を確認したうえで、回収余地や手続の見通し、取るべき対応を整理することができます。

よくある質問

Q1.取引先が破産しました。売掛金はもう回収できませんか。

配当がない場合もありますが、担保、所有権留保、相殺、保証人などにより回収余地を検討できる場合があります。まずは通知書と契約関係の資料を確認することが重要です。結論は個別事情により異なります。

Q2.破産債権届出書が届いたら何をすればよいですか。

届出期限を確認し、債権額、発生原因、弁済期、担保・保証・相殺の有無を整理して、証拠資料とともに届け出ます。記載や添付に迷う場合は、期限前に弁護士へ相談することをおすすめします。

Q3.債権届出期限を過ぎた場合でも届出できますか。

期限後の届出の可否や不利益は、手続や事件によって異なります。放置せず、できるだけ早く裁判所や代理人へ確認することが重要です。

Q4.未払い商品を勝手に引き上げてもよいですか。

未払いがあっても、無断での引上げ(自力救済)は違法と評価されるおそれがあります。所有権留保条項の有無や対象物の状況を確認し、慎重に判断する必要があります。すでに倒産手続が始まっている場合は特に注意が必要です。

Q5.取引先への売掛金と、こちらの買掛金を相殺できますか。

相殺できる可能性がありますが、相殺の時期や倒産手続上の制限、相殺禁止の規定があります。特に民事再生では時期の制限があり、支払停止後の相殺には注意が必要です。実行前に確認することをおすすめします。

Q6.担保や保証人がある場合は、倒産手続とは別に回収できますか。

担保権は別除権として手続外で行使できる場合があり、保証人へは主債務者の手続とは別に請求する余地があります。ただし会社更生では担保権の行使が制限されるなど、手続により扱いが異なります。資料の確認が必要です。

Q7.民事再生の場合、今後も取引を続けてもよいですか。

継続するかどうかは経営判断ですが、契約条項や支払条件を確認し、開始前の債権と開始後の取引を区別することが重要です。今後の取引は前払い・現金取引・短期決済なども検討対象になります。

Q8.取引先倒産で自社の資金繰りが苦しい場合、確認できる制度はありますか。

経営セーフティ共済(加入している場合)やセーフティネット保証1号(指定事業者に対する債権の場合)などの公的制度を確認できる場合があります。要件や指定状況は変動するため、公式情報で確認してください。

まとめ

取引先の倒産時に売掛金回収で確認すべき点の要点は、次のとおりです。

  • 期限……債権届出の期限など、手続上の期限を最優先で確認する。
  • 資料……契約書、請求書、納品書、入金履歴などの証拠資料を保存・整理する。
  • 担保・相殺……担保権、所有権留保、相殺、保証人による回収余地を確認する。
  • 契約対応……納品停止・契約解除・継続取引は、契約書を確認し、自力救済を避けて慎重に判断する。
  • 相談タイミング……通知書が届いたとき、期限が迫っているとき、回収方法に迷うときは早めに相談する。

「取引先が倒産したら回収は終わり」と決めつける必要はありません。届出、担保、相殺、保証、資料確認により、回収余地を検討できる場合があります。

取引先の倒産に伴う売掛金回収について、資料を確認したうえで対応方針を整理できます。企業法務・債権回収に対応する弁護士が、神戸・兵庫の事業者のご相談に対応しています。費用や手続の見通しについても、あわせてご確認いただけます。

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監修・執筆

弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所
代表弁護士・公認会計士 藤井 貴之(兵庫県弁護士会所属)

所在地:神戸市須磨区中落合2-2-5 名谷センタービル7階
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