高齢者の交通事故と骨折|骨粗鬆症・既往症と素因減額 |淡路島(淡路・洲本・南あわじ)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所

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高齢者の交通事故と骨折|骨粗鬆症・既往症と素因減額

高齢のご家族が交通事故に遭い、太ももの付け根(大腿骨)や背骨、手首などを骨折された後で、保険会社から「骨粗鬆症があるので賠償額を減らします」「もともと既往症があるので、事故だけが原因とはいえません」と説明され、不安を感じている方は少なくありません。提示された金額や説明をそのまま受け入れてよいのか、迷われるのは自然なことです。

結論として、骨粗鬆症や既往症があるというだけで、損害賠償額が必ず減額されるわけではありません。減額が認められるかどうかは、疾患の有無やその程度、事故の衝撃の大きさ、骨折した部位、事故前の生活状況、治療経過、医学的な資料などを総合的にみて判断されます。個別事情により結論は変わりますので、提示額や減額の主張の根拠を確認したうえで、今後の対応を整理することが大切です。

この記事では、高齢のご本人やご家族に向けて、素因減額という考え方の基本、骨粗鬆症や既往症があるときの注意点、示談の前に確認しておきたい資料、相談を検討したいタイミングを整理します。なお、具体的な金額や算定の基準、後遺障害の等級認定の見通しは事案ごとに異なるため、本記事では断定せず、確認すべき視点をお示しします。

保険会社から骨粗鬆症や既往症を理由に減額と言われ、提示内容に迷われている方は、示談書に署名する前に一度ご確認ください。事故前後の生活状況や医学資料をもとに、今後の対応方針を整理することができます。

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結論|骨粗鬆症や既往症があっても、まず確認したいこと

保険会社から素因減額を主張されたときに、減額の割合だけを見て判断するのは早計です。まずは、その主張がどのような事実と資料に基づいているのかを確認することから始めます。下の表は、最初に整理しておきたい確認ポイントです。

確認ポイント なぜ重要か/何を見るか
骨粗鬆症など疾患の有無と程度 「疾患」と評価されるのか、年齢相応の変化(身体的特徴)にとどまるのかで、考え方が変わります。診断名や検査結果を確認します。
事故前の生活状況 事故前は一人で歩けていたか、家事や買い物、農作業ができていたか。事故前後の落差が重要です。
事故の衝撃の大きさ 事故の態様や衝撃の程度は、損害との関係を考えるうえで考慮されます。事故証明書や事故状況を確認します。
骨折した部位 大腿骨、脊椎、手首など、部位により治療や後遺障害の現れ方が異なります。
治療の経過 手術、入院、リハビリ、転院、退院後の状況など。診療録や画像資料を確認します。
後遺障害の内容 可動域の制限、痛み、歩行のしづらさ、人工関節などが残ったか。後遺障害診断書を確認します。
介護の状況 事故前後の介護認定の変化、付添いや介護の負担。介護保険資料やケアマネジャーの記録を確認します。

これらは、保険会社の主張に反論する場合にも、適正な賠償を検討する場合にも、共通して必要になる材料です。資料を確認したうえで判断する必要があり、個別事情により結論は変わります。

素因減額とは何か|過失相殺との違い

素因減額とは、被害者がもともと持っていた身体的・心理的な要因(疾患など)が、損害の発生や拡大に影響したとして、損害の公平な分担という観点から損害賠償額を調整する考え方です。交通事故などの損害賠償では、民法709条が賠償責任の基礎となり、民法722条2項が被害者の過失を考慮できる旨を定めています。素因減額は、この722条2項を類推適用するものと理解されています。

素因減額は「落ち度」を責めるものではない

注意したいのは、素因減額は「被害者に不注意や落ち度があった」という意味ではない点です。信号無視などの過失を理由に減額する過失相殺とは、考え方の出発点が異なります。素因減額は、被害者の過失ではなく、もともとの身体的な状態が損害にどの程度関係したか、という観点から議論されます。過失割合そのものについては、別のコラムで扱っています。

交通事故における過失割合(過失相殺)について

既往症・疾患・身体的特徴・加齢変化を分けて考える

裁判実務では、被害者のもともとの状態を、おおまかに次のように分けて検討します。一つは、はっきりとした「疾患」に当たる場合です。最高裁は、被害者の疾患と加害行為がともに原因となって損害が生じ、その疾患の態様や程度に照らして加害者に全額を負担させるのが公平を失するときは、賠償額を定めるにあたり被害者の疾患を考慮できる、という考え方を示しています。

もう一つは、平均的な体格や通常の体質と異なる「身体的特徴」にとどまり、疾患とまではいえない場合です。最高裁は、被害者が平均的な体格や通常の体質と異なる身体的特徴を持っていたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情がない限り、その身体的特徴を賠償額を定めるにあたって考慮することはできない、という判断を示しています。加齢に伴う一般的な変化や、年齢相応の状態は、この「身体的特徴」と評価される余地があります。

つまり、もともとの状態が「疾患」と評価されるのか、それとも「身体的特徴」にとどまるのかが、ひとつの分かれ目になります。ただし、この区別は医学的な評価や程度によるため、最終的には個別事情により結論は変わります。判例の正確な内容については、弁護士が確認したうえでご説明します。

高齢者に多い骨折と、その後に起きやすいこと

骨粗鬆症は、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる状態とされ、高齢の方に多くみられます。日本整形外科学会の説明によれば、骨折が生じやすい部位として、背骨(脊椎の圧迫骨折)、手首(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根(大腿骨頚部骨折)などが挙げられています。交通事故では、これらの部位の骨折が問題になることがあります。

大腿骨近位部骨折(頚部・転子部)

太ももの付け根の骨折は、高齢の方では歩行が難しくなり、手術やリハビリ、長期の入院が必要になることが多い骨折とされています。公的な医療機関の資料でも、寝たきりの大きな原因として挙げられています。事故後に、手術、転院、介護認定、歩行能力の低下といった変化が生じやすい点に注意が必要です。

脊椎圧迫骨折・橈骨遠位端骨折

背骨の圧迫骨折は、痛みや背中の変形、身長の低下などにつながることがあるとされます。手首の骨折は、関節の動かしにくさや握力の低下などが残ることがあります。いずれも、治療後にどのような症状が残ったかが、後遺障害を検討するうえで重要になります。なお、医学的な診断や治療方針、予後については、主治医の判断によります。

骨粗鬆症があると賠償額は減るのか

「自動的に減額」ではない

最初に強調したいのは、骨粗鬆症や既往症があるからといって、損害賠償額が自動的に減額されるわけではない、ということです。保険会社が素因減額を主張したとしても、それがそのまま認められるとは限りません。減額が認められるかどうかは、疾患の程度や、損害の発生・拡大への関係などを総合的にみて判断されます。

「疾患」と評価されるか、「身体的特徴」にとどまるか

前述のとおり、もともとの状態が「疾患」と評価され、それが損害の拡大に大きく関係したと認定される場合には、減額が問題になる可能性があります。一方で、年齢相応の状態にとどまり「身体的特徴」と評価される場合には、減額が争われても認められない可能性があります。

また、過失相殺の考え方を前提とすると、減額を主張する側(保険会社・加害者側)が、その根拠を示す必要があると考えられています。したがって、保険会社から減額を言われた場合には、まず「どのような疾患を前提にしているのか」「どの資料に基づいているのか」「どの損害項目をどの程度減らそうとしているのか」を確認することが出発点になります。診断書、画像資料、診療録などをもとに、その主張に見直す余地がないかを検討する必要があります。個別事情により結論は変わります。

保険会社から減額を言われたときの確認手順

保険会社から素因減額を含む説明を受けたときは、次の順序で確認することをおすすめします。

  • 減額の根拠を確認する。「なぜ減額するのか」「どの疾患・既往症を前提にしているのか」を具体的にたずねます。
  • 根拠となる資料を確認する。主張がどの診断書・画像・診療録に基づくのかを確認します。
  • 対象となる損害項目を確認する。治療費なのか、慰謝料なのか、逸失利益なのか、どの項目をどの程度減らそうとしているのかを整理します。
  • 賠償額提示書の内訳を確認する。提示された金額が、どの基準・計算で出されたものかを確認します。
  • 署名の前に確認する。示談書に署名すると、原則としてやり直しが難しくなります。署名する前に内容を確認することが重要です。

これらの確認は、ご家族だけで進めるのが難しい場合もあります。資料の整理や保険会社とのやり取りに不安があるときは、示談前・署名前に一度確認しておくと安心です。

「減額の根拠資料を見てもよく分からない」「提示額が適正か判断できない」という場合は、提示書や診断書などの資料をもとに、見直す余地がないかを一緒に整理できます。

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高齢者の骨折事故で検討する主な損害項目

高齢の方の骨折事故では、次のような損害項目を検討します。下の表は項目の整理であり、具体的な金額や算定の基準は事案により異なります。実際の金額は、資料を確認したうえで個別に検討する必要があります。

損害項目 主な内容
治療費 手術費、入院費、リハビリ費など、治療に要した費用。
入院雑費 入院中の日用品など、入院に伴う諸費用。
付添看護費 入院中や通院時の付添いが必要と認められる場合の費用。
通院交通費 通院のための交通費。家族の送迎を要する場合を含めて検討します。
休業損害 仕事や家事従事ができなかったことによる損害。就労状況や家事従事の状況を確認します。
入通院慰謝料 入院・通院による精神的苦痛に対する慰謝料。
後遺障害慰謝料 後遺障害が残った場合の精神的苦痛に対する慰謝料。
後遺障害逸失利益 後遺障害により将来の収入や家事従事能力に影響が生じた場合の損害。
将来介護費 後遺障害により将来の介護が必要と認められる場合の費用。
装具・住宅改修・介護用品費 歩行補助具、手すりの設置、介護用品などの費用。
近親者の付添い・家族の負担 事案により、近親者の付添いや負担が考慮される場合があります。

どの項目をどこまで請求できるか、またその金額をどのように算定するかは、裁判実務上参照される基準を前提に検討します。具体的な基準や金額の当てはめは、弁護士が資料を確認したうえでご説明します。

後遺障害に基づく損害賠償について

ご家族が早めに集めておきたい資料

高齢のご本人は、事故前の状態や生活の様子をご自身で詳しく説明するのが難しいことがあります。ご家族が、事故前後の状況が分かる資料を早めに整理しておくと、後の検討に役立ちます。次のチェックリストを目安にしてください。

  • 事故前は一人で歩けていたか(杖や歩行器の使用状況を含む)が分かるもの
  • 事故前の買い物、家事、農作業、通院、外出などの様子が分かるもの
  • 介護認定の有無と、事故前後で介護度が変化したかが分かる資料
  • 事故前の通院歴、骨粗鬆症の治療歴が分かる資料(お薬手帳など)
  • 事故後の診断名、手術、リハビリ、転院、退院後の生活状況が分かる資料
  • 事故証明書、診断書、診療報酬明細書、画像資料、後遺障害診断書
  • 保険会社からの賠償額提示書、素因減額の根拠とされた資料
  • 休業損害証明書、年金・給与・農業収入・家事従事の状況を示す資料
  • 写真、日記、介護記録、ケアマネジャーの記録、施設の記録など

すべてを完璧にそろえる必要はありません。手元にあるものから整理し、不足分は相談の際に一緒に確認していくとよいでしょう。

後遺障害の申請で注意したいこと

骨折の治療後に症状が残った場合には、後遺障害として評価されることがあります。高齢の方の骨折では、関節の可動域の制限、痛み、歩行のしづらさ、人工骨頭や人工関節の使用、背骨の変形などが問題になることがあります。

後遺障害の等級が認められるかどうか、また何級に当たるかは、症状の内容や検査結果、資料の整え方によって左右され、事案により異なります。等級や認定の可能性をあらかじめ断定することはできません。重要なのは、後遺障害診断書を作成する前の段階で、残っている症状や検査結果が適切に反映されるよう確認しておくことです。診断書の内容は認定に影響するため、作成前に一度確認しておくことをおすすめします。

淡路島で高齢のご家族の交通事故を相談する意味

淡路島(淡路市・洲本市・南あわじ市など)は、公的な資料でも高齢化が進む地域とされています。高齢のご家族の骨折事故では、通院先や入院先、家族の付添い、退院後の介護、転院、生活の立て直しなど、地域の事情と密接に関わる課題が同時に生じることがあります。

地元で相談することで、こうした通院・介護・生活再建の実情を踏まえながら、事故前後の生活状況や医学資料をもとに、今後の対応方針を整理することができます。遠方の手続が負担になりやすい高齢のご本人やご家族にとって、地域に根ざした相談先を持っておくことには意味があります。

弁護士に相談するタイミング

次のような場面は、相談を検討したいタイミングです。弁護士に相談することで結果が保証されるわけではありませんが、資料を確認し、今後の対応方針を整理することができます。

  • 保険会社から骨粗鬆症や既往症を理由に素因減額を言われたとき
  • 治療費の打切りを打診されたとき
  • 症状固定(これ以上の改善が見込めない状態)と言われたとき
  • 後遺障害診断書を作成する前
  • 後遺障害の等級認定の結果に疑問があるとき
  • 示談書に署名する前
  • ご家族だけでは資料の整理や保険会社とのやり取りが難しいと感じたとき

骨粗鬆症があると、交通事故の賠償額は必ず減額されますか。

必ず減額されるわけではありません。減額が認められるかどうかは、疾患の程度や、損害の発生・拡大への関係などを総合的にみて判断されます。年齢相応の状態にとどまる場合には、減額が争われても認められない可能性があります。個別事情により結論は変わります。

高齢であることを理由に、慰謝料が下がることはありますか。

年齢だけを理由に当然に下がるものではありません。もっとも、就労や家事従事の状況など、年齢に関わる事情が損害の項目ごとの検討に影響することはあります。資料を確認したうえで判断する必要があります。

事故の前から通院していた場合でも、請求できますか。

既往症や通院歴があっても、事故によって生じた損害については請求できる可能性があります。事故前の状態と事故後の状態を比べ、事故による影響を整理することが大切です。

保険会社から素因減額と言われたら、何を確認すべきですか。

減額の根拠(どの疾患を前提にしているか)、根拠となる資料、対象となる損害項目、減額の割合を確認します。そのうえで、診断書や画像資料などをもとに、主張に見直す余地がないかを検討します。示談書に署名する前に確認することが重要です。

大腿骨の骨折で、後遺障害が認められることはありますか。

関節の可動域の制限や人工関節の使用などが残った場合に、後遺障害として評価されることがあります。ただし、等級や認定の可能性は症状や資料により異なり、事案によって結論が変わります。

本人ではなく、家族が代わりに相談してもよいですか。

ご家族からのご相談も可能です。高齢のご本人が説明しづらい場合は、事故前後の生活状況が分かる資料をご家族が整理しておくと、検討がスムーズになります。

示談した後で、減額が不当だったと気づいた場合はどうなりますか。

一度成立した示談は、原則としてやり直しが難しくなります。だからこそ、署名の前に内容を確認することが重要です。すでに示談した場合の取扱いは事情により異なるため、早めにご相談ください。

弁護士費用特約は使えますか。

ご自身やご家族が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合、利用できることがあります。適用の可否は契約内容によりますので、保険証券を確認のうえご相談ください。

まとめ

  • 骨粗鬆症や既往症があるだけで、賠償額が必ず減額されるわけではありません。あきらめずに確認することが大切です。
  • 減額が認められるかは、疾患の程度、事故の衝撃、骨折部位、事故前後の生活状況、治療経過、医学資料などを総合的にみて判断され、個別事情により結論は変わります。
  • 保険会社から素因減額を言われたら、減額の根拠と資料、対象項目を確認し、見直す余地がないかを検討します。
  • 示談書に署名する前に内容を確認しておくことが重要です。
  • ご家族は、事故前後の生活状況や介護の状況が分かる資料を早めに整理しておくと役立ちます。

高齢のご家族の交通事故と骨折、骨粗鬆症や既往症を理由とする減額でお困りの方は、事故前後の生活状況や医学資料をもとに、今後の対応方針を整理することができます。示談前・署名前に、一度ご相談ください。

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監修者

本コラムは、あわじみらい法律会計事務所の弁護士が監修しています。交通事故を取り扱う弁護士が、事故前後の生活状況や医学資料を踏まえた損害賠償の検討に対応しています。所属弁護士会、資格、取扱分野などの詳細は、弁護士紹介ページをご覧ください。

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参考資料

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