後遺障害に基づく損害賠償について
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後遺障害に基づく損害賠償
はじめに
交通事故によって怪我をした場合、一時的な傷害にとどまらず、後遺障害(後遺症)が残存し、社会生活や人生設計に大きな支障をきたすことがあります。
後遺障害には、むち打ち症、高次脳機能障害、疼痛・カウザルギー・反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、めまい、外傷性てんかん、非器質性精神障害(うつ、PTSD等)、脊髄損傷、耳鳴りなどさまざまなものがありますが、後遺障害等級認定の手続などは共通しています。
そこで、本コラムでは、後遺障害に基づく損害賠償について、淡路島の弁護士が解説いたします。
後遺障害(後遺症)とは
後遺障害(後遺症)とは、症状固定時に残存する身体・精神機能の不調をいい、身体・精神機能の不調自体を後遺症といい、それが自賠責保険等における一定の基準を満たして障害として評価される場合に限り、後遺障害というというように、後遺症と後遺障害を使い分けることもあります。
なお、症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善を望むことができない状態をいい、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(療養)をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然経過によって到達すると認められる最終の状態と定義されています。
後遺障害等級認定手続とは
被害者は症状固定になっても、治癒しないで後遺症を残した場合、通常、後遺障害診断を受けて自賠責保険の後遺障害認定手続を行うことになります。
後遺障害等級認定には、2種類あり、➀自賠法16条に基づく被害者請求の方法と②任意保険会社の事前認定手続を利用する方法があります。
上記のいずれの方法であっても、損害保険料算出機構の自賠責調査事務所に必要な書類が送付され、同調査事務所の調査を踏まえて後遺障害等級に関する判断がなされます。
後遺障害等級は1級から14級までに整理されており、各等級に見合った労働能力喪失率と慰謝料額が基準化されています。
自賠責調査事務所の等級認定に不服がある場合、異議申立てを行うことができ、異議申立てにより被害者に不利益に変更されることはなく、回数制限もありません。
具体的に後遺障害等級認定手続を受けるためには、まず、症状固定後に医師の診断を受けて後遺障害診断書を作成してもらいます。
後遺障害等級の認定は、多くの場合、提出された後遺障害診断書等の書面審査だけで行われるため、医師による後遺障害診断書の作成に際しては、被害者に残存した症状を余すことなく医師に伝え、補充の資料として画像検査や経過の検査結果などの資料を適切に収集して提出することが極めて重要になります。
後遺障害慰謝料とは
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残存したことに対する慰謝料であり、後遺障害等級に応じて定めるのが一般的である。
(自賠責基準)と(裁判基準)の後遺障害慰謝料の比較は次のとおりです。
(自賠責基準)と(裁判基準)の後遺障害慰謝料の比較
なお、重度の後遺障害の場合、被害者本人分とは別に、親族にも固有の慰謝料が認められることがあります。
後遺障害逸失利益とは
後遺障害逸失利益とは、後遺障害がなければ将来的に得られたであろう収入あるいは利益をいい、将来損害であることから中間利息が控除されます。
後遺障害逸失利益の計算式は以下のとおりです。
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数(ライプニッツ係数)
基礎収入は、給与所得者では事故前年の収入であり、事業所得者では固定経費も控除した後の所得額が基礎とされるのが通常です。
なお、若年者、未就労年少者、家事従事者等では、賃金センサスを用いることが一般的です。
労働能力喪失率は、後遺障害の等級に見合った基準化された数値を用いることが原則ですが、醜状障害、変形障害、嗅覚・味覚障害、脾臓摘出、歯牙障害、性的能力の喪失・減退等では必ずしも労働能力に影響を及ぼさないものとして争いが生じやすいです。
また、減収が生じていない場合、被害者としては、本人の特段の努力や周囲の配慮により収入が維持されていること、実際に就業上の支障が生じていることなどを主張・立証しなければ、十分な賠償が得られないことがあります。
労働能力喪失期間については、症状固定日から67歳までの年数と、簡易(完全)生命表の平均余命年数の2分の1のいずれか長い方とされています。
もっとも、むち打ち症の場合、症状の軽減ないし馴化による労働能力回復が見込まれるものとして、12級では10年程度、14級では5年程度に制限されることが多いです。
交通事故の弁護士費用
●弁護士費用特約が付いている場合
法律相談料、着手金だけでなく、多くの場合、報酬金や実費等の費用も自己負担額0円で当事務所にご依頼いただけます。
※法律相談料が10万円を超える場合には、自己負担が生じます。
※弁護士費用特約が利用可能な場合、弁護士費用特約の支払基準に従って、弁護士費用(相談料、着手金、報酬金等)をご請求させていただきます。
※弁護士費用等の合計が300万円を超える場合には、自己負担額が生じます。
●弁護士費用特約が付いていない場合
初回法律相談料:0円
着手金:0円
※訴訟、2回目以降の異議申立、事故の相手方が無保険の場合等には、追加着手金をいただくことがあります。
報酬金:16.5万円+賠償金の11%~(消費税込)