交通事故の対応について
交通事故Contents
事故発生の対応
はじめに
突然、交通事故にあった場合又は交通事故を起こしてしまった場合、混乱するとは思いますが、まずは落ち着いて行動することが重要です。
本コラムでは、交通事故の対応について、淡路島の弁護士が解説します。
事故発生直後の対応
交通事故が発生した場合、事故発生直後の対応として、当事者が行うべき対応は以下のとおりです。
1 負傷者の救助・二次災害の防止
負傷者がいれば救急車(119)を呼び、救急救命を行う等、状況に応じた適切な措置をとる必要があります。
したがって、もし、相手が怪我をしているときは、同乗者や通行人に協力してもらって、近くの病院に運ぶか、救急車を手配しなければなりません。
負傷の程度によっては、むやみに動かさないで救急車の到着を待つこともありますが、救急車到着までの間に、止血などの必要な応急措置をしましょう。
また、事故車両を安全な場所に移動させるなど、二次的な事故を防ぐ必要があります。
したがって、事故車両は、できるだけ道路の脇に移動し、通行中の車両に事故を知らせるようにしましょう。
このように、運転者が事故現場で負傷者を救護し、道路における危険を防ぐ義務のことを緊急措置義務といいます。
これに違反した場合、人身事故では10年以下の懲役又は100万円以下の罰金、物損事故では1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
2 警察官に対する報告
交通事故が発生した場合、当事者は、加害者・被害者を問わず、人身事故・物損事故の別、交通事故の大小などを問わず、警察官(110番)に対する交通事故の報告を行う必要があります。
これを事故報告義務といいます。これに違反した場合、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
したがって、交通事故の当事者になった場合、相手方の怪我の状況や相手方の車の損傷の程度を確認し、事故の内容を警察に通報しましょう。
後述するとおり、交通事故が発生したことを公的機関が唯一証明する書面である交通事故証明書は、保険(共済金)の請求などでも必要になってくる書面です。
もっとも、当事者による警察官に対する事故報告が行われなければ、交通事故証明書自体が作成されないおそれがあります。
したがって、交通事故の被害者も交通事故が生じた場合には、必ず警察官に対する報告をし、負傷した場合には、併せて人身事故扱いの届出をすることも含めて対応を検討する必要があります。
3 事故相手方の情報の確認
交通事故が生じた場合、その後の対応で必要になりますので、運転免許証・身分証明書・自動車検査証等によって交通事故の相手方の以下の情報を確認しましょう。
・ 相手方の住所・氏名・連絡先
・ 相手方が加入している自賠責保険・任意保険の会社名(保険証書)
・ 相手方車両の登録ナンバー(自動車登録番号)
・ 相手方の勤務先(*)
(*)業務中に従業員が交通事故を起こした場合、通常、使用者も責任を負います(使用者責任)。
4 目撃者の確保
通行人や近所の人など、交通事故の目撃者がいる場合、氏名・連絡先を聞いておきましょう。
事故の状況が複雑な場合、目撃者に事故状況を確認することが必要な場合があり、第三者の証言は非常に有効な証拠になります。
目撃者の証言・指示説明などが警察による交通事故の捜査で作成される実況見分調書に記載されることもよくあります。
5 現場証拠の保全
事故直後の現場状況については、自身でも写真・映像などを撮影し記録化しておきましょう。
事故直後の車両の停止位置や路面の状況などは、のちに相手方とのトラブルになった際などに非常に有用な証拠となることがあります。
6 保険会社に対する報告
自身の加入している自動車保険の保険会社や取扱代理店に対して事故発生の通知をする必要があります。
速やかに連絡をしておかないと、保険金が支払われないこともあり、保険契約では人身事故等で60日以内に連絡がなければ保険対応ができなくなる旨の規定がある場合もありますので注意してください。
7 医療機関の受診
交通事故で負傷した場合、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。
その場で軽症だと思っても、時間が経つに従って症状が悪化し、想定外に重症化することは交通事故の怪我ではよくあることです。
もし、軽症という認識であっても受傷した場合には、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。
なお、事故後、速やかに受診をしない場合、後になって交通事故と負傷との因果関係が争われることもあります。
交通事故で怪我をした場合(被害者側)の対応
1 医療機関での治療(怪我をした場合)
交通事故で受傷した場合、医療機関において治療を行うことになります。
継続的な通院が必要になった場合において、治療にあたってのポイントは、①むやみに転院を繰り返さないこと、➁自身の症状をしっかり医師に伝えること、③定期的に通院を行うことです。
一方で、入院するような重症であった場合、通常、急性期病院⇒回復期リハビリテーション病院⇒慢性期療養型病院と治療が進むに従って、医療機関を転院していくことになります。
また、治療費に関しては、必要に応じて労働災害(通勤災害)・公務災害、健康保険の利用等を検討します。
2 休業損害の請求(休業することが必要になった場合)
交通事故で休業することが必要になった場合、被害者は、休業損害(=事故によるけががなけれな得られたであろう収入あるいは利益)を請求することができます。
給与所得者においては、保険会社から送られてくる所定の休業損害証明書の用紙を使用して、勤務先に休業したことにより支給される給与・賞与等が減額になったことや、有給休暇を消化することを余儀なくされたことを証明してもらって、休業損害を請求することになります。
3 相手方保険会社への対応(特にむち打ち症などの場合)
特に特にむち打ち症などの場合、被害者には相手方保険会社からの連絡(定期的な状況確認)がなされ、わずらしい保険会社とのやりとり・交渉に対応する必要があります。
特に、治療費・休業損害の打ち切りへの対応などに対して、突然交通事故に遭われた被害者が交通事故に関する知識や交渉のノウハウ等を持ち合わせているはずもなく、保険会社とのやりとり等が負担となり、日常生活や治療に支障が生じることもあります。
当事務所では、弁護士に示談交渉等を依頼し、保険会社とのやりとり・交渉や被害者請求等のわずらわしい手続を任せることによって、精神的な負担を軽減し、ご自身は治療等に専念することをおすすめしております。
交通事故を起こしてしまった場合(加害者側)の対応
交通事故の加害者には、➀民事上の責任、②刑事上の責任、③行政上の責任の3つの責任が発生します。
➀民事上の責任は、被害者に生じた損害を賠償する責任で、怪我をした被害者の治療費、休業損害、慰謝料や、被害者に後遺障害が残存した場合の慰謝料・後遺障害逸失利益などが賠償対象になります。
このほか、損傷した車両の修理費用、被害者が死亡した場合の死亡逸失利益・死亡慰謝料・葬儀費用等も賠償対象になります。
②刑事上の責任は、基本的には、人身事故になった場合に生じるもので、自動車運転過失致死傷罪が成立する場合に生じます。このほか、一時停止違反等の道路交通法違反の責任も加わることがあります。
加害者の落ち度が少ない場合、被害結果が大きくない場合であれば人身事故であっても、不起訴や罰金刑で済むことも多いですが、飲酒運転(酒気帯び運転・酒酔い運転)などで死亡事故を起こしてしまった場合のように悪質な事案では、執行猶予が付されることなく、実刑に処せられることがあります。
なお、②刑事上の責任については、詳しくはこちらをご参照ください。
③行政上の責任としては、自動車運転免許の取消・停止等の処分を受けることがあります。
交通事故における付加点数は、以下のとおりですが、以下の点数に加えて少なくとも、安全運転義務違反(2点)が追加されます。
15点以上で、前歴等がなくとも免許取消処分を受けるになります。
被害者の負傷程度 | 専ら加害者の不注意による場合 | それ以外の場合 |
---|---|---|
死亡 | 20点 | 13点 |
・治療期間が3か月以上
又は後遺障害 |
13点 | 9点 |
治療期間が30日以上3か月未満 | 9点 | 6点 |
治療期間が15日以上30日未満 |
6点 | 4点 |
・治療期間が15日未満
又は建造物の損壊 |
3点 | 2点 |
交通事故の弁護士費用
●弁護士費用特約が付いている場合
法律相談料、着手金だけでなく、多くの場合、報酬金や実費等の費用も自己負担額0円で当事務所にご依頼いただけます。
※法律相談料が10万円を超える場合には、自己負担が生じます。
※弁護士費用特約が利用可能な場合、弁護士費用特約の支払基準に従って、弁護士費用(相談料、着手金、報酬金等)をご請求させていただきます。
※弁護士費用等の合計が300万円を超える場合には、自己負担額が生じます。
●弁護士費用特約が付いていない場合
初回法律相談料:0円
着手金:0円
※訴訟、2回目以降の異議申立、事故の相手方が無保険の場合等には、追加着手金をいただくことがあります。
報酬金:16.5万円+賠償金の11%~(消費税込)