著作物の著作権者
著作権著作物の著作権者について淡路島の弁護士がご説明いたします。
原則として、著作権(及び著作者人格権)は、著作者(クリエイター)に帰属しますが、著作権は譲渡することもできます。
そこで、著作者(クリエイター)がクライアントに成果物を納品する場合、以下のとおり、著作者(クリエイター)及びクライアント間では、著作権(及び著作者人格権)について契約書等において明確に取り決めを行っておくべきです。
1 「何らの取り決めも行っていない場合、著作権は著作者(クリエイター)に帰属する。」
契約書などで取り決めも行わなかったという場合、原則どおり、著作権は著作者(クリエイター)に帰属します。
なお、契約とは当事者の合意・約束のことをいいますので、契約書などの文書がなくても、口頭やメールでも契約は成立し得るので、著作者(クリエイター)としては、意図せず著作権を譲渡していることのないよう、留意する必要があります。
例えば、クライアントが著作者(クリエイター)に提出した見積書において、料金が著作権譲渡の対価であることを明記され、クリエイターにおいては何らの異議を唱えることがなかった場合には、契約書がなくとも著作権のクライアントへの譲渡が認められる可能性が高いと考えられます。
裁判例においては、モデルのファッション撮影の電子データについて、写真家が「どのように使うかは御社次第です」などとメールしていた事案において、著作権の譲渡までは認めなかったものの、「宣伝目的であればトリミングなどは使用者に任せるという包括的な許諾をしていた」と判断し、著作権の侵害を認めませんでした(東京地判平成27年11月20日)。
2 「契約書などで著作権をクライアントに譲渡する場合について」
契約内容や料金次第で、著作権は著作者(クリエイター)からクライアントに譲渡されることになる場合があります。
例えば、企業のロゴや商品のパッケージデザイン等の長期間使用することを想定した成果物では、クライアントとしては著作権の譲渡を受けておくべきです。
また、キャラクターのデザインでは、ウェブサイトに使用したり、グッズ化等の商用利用が想定されることから、同じくクライアントとしては著作権の譲渡を受けておくべきです。
一方で、クリエイター側では、著作権を譲渡する場合でも、成果物を自身のポートフォリオとして作品を公開することができるよう、「媒体を問わず、成果物を自己のポートフォリオとして公表することができる」などの条項を設けることをおすすめします。
3 「著作者人格権の取扱いについて」
著作者人格権は、著作権とは別個独立の権利であり、著作権を譲渡した場合であっても、著作者は一身専属権として著作者人格権を行使することができます。また、著作者人格権はそもそも一身専属権であるため、譲渡自体できません。
ただし、実際の取引においては、上記「2」のように著作権を譲渡する場合、併せて「著作者人格権は行使しない」という取り決めがなされることが通常です。
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カテゴリ:【コラム】著作権
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